[Nostalgies]季節のお便り

もうずいぶん前のことになりますが、私の大学時代の友人には、元留学生同士で結婚し日本に住み子どもをもうけた人がいます。私は彼らに、言ってみれば日本文化を理解した上でそこに住んでいると期待していたのですがそうではなかった一例があります。

日本語学科のタイ人は、あるインドネシア人女性と結婚しました。いいことです、彼はご自分のご両親とうまくいっていなかったため、自分の家族が欲しい、日本にずっといられるように誰でもいいから日本人と結婚したい、なんて(大学時代に)こぼしていましたから。でも、結婚は一人としかできないから、ずっと一緒にいても構わない人としないと、後でそういう人に出会っても苦しむだけだよと話したりなんかしたことがあります。

私は台湾にずっといるつもりでしたが、親に結婚を反対され、それもまったくの赤の他人まで連れてきて脅迫を受け、私は帰国はしたものの他の友人たちを頼って逃亡生活をしていました。ある従兄が両親を説得し、普通に暮らし始めた頃私は友人たちにはがきを出しました。連絡を取りたいならば私の両親にはコンタクトを取らないでほしかったからです。2006年のことでした。

ところが、2019年になってそのインドネシア人女性は私にそのはがきをもって「どういうつもり?私が彼の学費を出したんだ」などとメッセージを送ってきて、私は驚きました。学費のことなんか言われても、私は当然知りません。どういうつもりも何も、住所が変わったら友人たちに季節の挨拶と一緒に送るのは当たり前です。一種の形式ですね。私は彼女が、頭がおかしくなったのだろうかと思いました。

まさか、日本に来て、お子さんまで日本で産み育てて、日本の文化、そこまでいかなくとも形式を知らないとでも言うのでしょうか。私は彼女の望むとおりに連絡を絶ちました。形式をすっかり排除して日本にいるのですか、「どういうつもり?」と聞きたいのはこちらです。

でも、インドネシアでもクリスマスカードやニューイヤーカードを送るのはインドネシア人留学生から聞いて知っています。…突然旦那様から冷たくされて、私に当たったのでしょうね。彼は日本の伝統的なあれこれを好んでいましたから、そういう形式的なことを知らないはずがなかったからです。実際、学生時代は年賀状をみんなで送りあっていました。

こういうことがあって、日本にいま住んでいる外国人の友人たちには敢えて、年賀状を送っています。台湾人の友人からは、筆ペンで書かれた美しい草書体のはがきが送られてきます。比較的古い方の文化の存在を確認しあう機会が私たちには必要です…。